第60回日本先天異常学会学術集会

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会長挨拶

第60回日本先天異常学会学術集会
会長 藤原 道夫
(アステラス製薬株式会社 研究本部 安全性研究所)
会長:藤原道夫

第60回日本先天異常学会学術集会を2020年7月10日から12日までの3日間にわたり,神戸ファッションマート イベントスペース(神戸市,六甲アイランド)において開催させていただくにあたり,ご挨拶を申し上げます.歴史と伝統ある日本先天異常学会の学術集会を製薬企業が担当させていただくこととなり,企業創薬研究者として栄誉であるとともに使命の重大さを感じております。本来なら,私共の研究拠点であるつくば市周辺での開催を考えましたが,2020年東京オリンピックの開会とほぼ重なることから,日本近代創薬の中心地であった京阪神で行うことにいたしました。製薬企業所属の本学会会員がOne製薬企業として運営させていただこうと考えておりますので,是非ともご参加のほどよろしくお願い申し上げます。

先天異常学会60年の歩みは,我々,医薬品開発に携わる者の観点からは,サリドマイド事件,水俣病,カネミ油症事件などの環境化学物質の胎児に対する影響を教訓として,再発防止を目的とした研究の歩みと重なり,アカデミア研究者の基礎研究成果と支援を得て,多くの企業研究者が本学会で活動し,成果を示した期間であったと思います。同時に,本学会に所属する行政および規制に係る研究者が生殖発生毒性ガイドラインの制定において多大な貢献を果たし,さらに,臨床試験や新薬審査に携わる臨床研究者の見識によって,我が国における環境化学物質による生殖発生毒性リスクの回避が保たれてきました。一方,1980年代以降の生物学/工学の進歩は特に著しく,これらによって,既存の遺伝性疾患や化学物質による発生毒性の機序解明にとどまらず,新たな疾患や発生毒性リスクが示唆され,疾患に対する新たな検査法や診断,治療技術も確立され,先天異常学会が立ち向かうべき課題がさらに示されてきたように感じております。今回の学術集会(第60回学術集会)では、「先天異常研究60年、そして未来へ ~発生・発達・成長をめぐる新たな課題に挑む~」をメインテーマに、科学技術の進歩が新たに問いかける先天異常にかかわる課題について産・官・学を結集し,基礎と臨床の枠を超えた学際的な議論を交わされる学術集会を目指し,チャレンジしたいと考えております。オリンピック前夜の喧騒から少し離れた六甲アイランドの環境で,海から見渡す神戸と六甲山の灯りを楽しみつつ,有意義なディスカッションができるものと期待しております。

2019年11月

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